works

住宅医スクール第5回

ファイル 2015-11-04 17 12 40

住宅医スクールに参加してきました。

今回は温熱環境についてです。

森林技術アカデミーの辻孝充先生、国土技術政策総合研究所の三浦尚志先生、住宅技術評論家の南雄三先生による講義です。

1・2限は外皮計算、日射制御、結露計算等の基本的な考えとともに簡単な問題から解きながら家の温熱環境についての理解を深めていきました。

断熱材、サッシ、換気設備などどの部分をを上げていくのが家にとって良いのか、辻先生のプログラムは数値的な部分だけでなく、比率で見ることもでき、弱点を掴むのにとても役立ちそうです。

写真は透湿抵抗に対する考えの講義。

気密シートを使わずに(万が一の欠損においても)対応できるように内外の透湿抵抗比率を計算し検討していきます。

構造用合板は透湿抵抗が高いのでなるだけ頼らずつくるのが良いです。どうしても使わないといけない場合は気密シートに頼る必要がありますが、施工とチェックがとても重要なことも再確認しました。

ファイル 2015-11-04 17 13 19

3限は三浦先生の講義です。

南先生は単位について理解を深め、どこくらいの熱量が逃げたり入ったりするのか、室温を維持するのにどのくらいの熱量が必要なのか、手計算を用いて感覚的につかめるようなることが大事と話されていました。

お聞きして、どんな計算式もどんな単位を扱っているのかしっかり理解するのはとても重要だと認識することができました。

4限目は南先生の講義で興味深かったのは、「断熱と省エネは分けて考える」というお話。

高断熱性能=省エネ。これは違うということです。

極端な話をすると断熱がそこそこでも他の設備(太陽光発電やLEDや給湯設備)の選定や使い方において家全体のエネルギーでみると省エネになる場合もあるということ。

だから断熱は省エネのひとつの要素として考えることが大事です。

ただ断熱性能はやっぱり大事。

どの講義においてもヒートショックおける死亡者数の話はされていました。(年間の交通事故死亡者数よりも多い。)

日本の家は部屋ごとの暖房が実際のところです。

部屋ごとの温度差をなるだけ少なくし、体へのストレスを減らすことが近道です。(断熱改修ができない場合は、洗面所やトイレなどの局所暖房が大事)

南先生は今の外皮性能をクリアするだけではなく、もう少し高いレベルの性能を目指していくべきだろう。何もしなくても冬15℃くらいの室温は維持していきたいね。と伝えていました。

そのためには今あるエリアごとの省エネ基準よりもう一ランクくらいはあげないといけません。付加断熱で断熱厚みを増していくのではなく、サッシの性能を見直すのがまず先決であることもはっきりしました。

今回の講義は自分が設計していくうえでどのあたりのスペックを目指していくのか、そして数値としてしっかりクライアントにも説明し共有しく重要性を受ける内容でした。

またひとつ家を設計する楽しみが増えたように思います。

次の住宅医は契約実務やマスタープランの小谷さんのリフォーム設計の講義も聞けるのでとても楽しみです。