ヴェローナの朝。
カステルヴェッキオ城に向かう。
川の畔に建つ城と橋。
その古城をカルロ・スカルパが改修し美術館に転用しています。
一部の壁はあえて当時の壁を見せていたり、時間軸の長い建築だと感じます。
入り口は泉を抜けて建物の右側から入ります。
当初の計画では建物中央に近い部分から入る予定だったようですが、スカルパが変更してこの場所になりました。
エントランスに入り、受付から回れ左をするとこの連続した空間が目に飛び込んできます。
しばし佇み、眺め入るひとときでした。
日本の民家でみられる畳の間の連続した空間のようにも見えてきます。
スカルパはとても日本が好きで何度も来日しています。
最後は不慮の事故で仙台で客死しています。
日本のエッセンスをどう建築に取り入れているか見るのも興味深いところです。
それぞれの空間に多様な光が差したりまたは床に落としたりしています。
室外側の古典的なアーチの窓、室内側の鉄の開口のフィルターを通して、表情豊かな光が表れます。
壁はざらっとした土壁のようで、天井は黒い漆喰を磨きで押さえています。
鉄の梁が天井に重みを与えていて、天井が高いにも関わらず重心の低い空間にしているように感じました。
どれだけ見ていても飽きることのないアーチの連続した空間。
反復という気持ちよさはDNAにでも埋め込まれているのでしょうか。
建物を抜けるとカステルヴェッキオ橋をくぐって東の建物に移動します。
その手前の連絡通路を見上げると騎馬像が見えます。
とても大事な彫刻になるだろうとスカルパは思っていたようで、空間スケッチにも残っています。
これは城壁の通路の上から見たところです。
立体的な動線計画で騎馬像をいろんな視点でみることができ、また迷路的な楽しさがあります。
城壁からの眺め。
ヴェローナの町を縫うように蛇行しながら川が流れています。
2階の展示室。
床の赤い磨きの石がとてもきれいでした。
ヴェローナ銀行でも見られる赤い石はヴェローナで採れる石の色だそう。
メインの通路の反対側に小さなスリットが切られていて、ついついそこを通って奥の展示室に進みたくなってしまいます。
2階をぐるっとまわって、1階におりてきます。
最後にこの赤い石のステップを踏んでおりると、最初のエントランス部分に戻ってきます。
とても明快で整理された動線計画です。
スカルパはレベルの差や心理的に切り替わる部分の素材の使い方がとても巧みだと思います。
また生きているうちに訪れたい場所です。
バスに乗ってサン・ゼーノ大聖堂を見て、次の町、カステルフランコ・ベネトへ。
明日もスカルパ建築巡りです。
-設計工房フウカ-
奈良県生駒市を拠点に主に住宅設計を中心に活動する一級建築設計事務所。
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