ヴァンスからレンタカーを走らせ一時間半、この旅の一番見たかった建築に到着。
ル・トロネ教会。
カトリックのシトー派教会でセナンク、 シルヴァカンヌ、ルトロネが三大教会と言われており、その中でものル・トロネ教会が最大傑作と言われています。
憧れる建築家が皆、このル・トロネ教会の素晴らしさに語られています。
シトー派は清貧や質素を信条としています。
教会は簡素であり空間の本質が浮き上がってくるようです。
エントランスから少し丘をのぼったところに教会は建っています。
写真に映る大理石のモニュメントはアルヴァロ・シザによるものです。
内部へ。
オープン10時に入りましたが、美しすぎて言葉が出ないほどの光に包まれた空間でした。
彫りの深い開口から光が注ぎ込まれていました。
オレンジ色の光が石肌をなめるように、しっとりと、寄り添うようにありました。
小さいステンドグラスから深い開口を通って光が導かれています。
石肌の凹凸の表情が親しみを感じます。
素晴らしい精度で積まれていることが分かります。
光に誘われながら次の間に進んでいきます。
床の表情がよくわかります。
修道士の共同寝室にあたる部分です。
左手の階段を上ると中庭を眺めることができるテラス、中央の階段を下ると食堂があり回廊、中庭につながっています。
テラスから中庭をみたところです。
教会は丘陵地に建っており、敷地の形状をいくつかのレベルを使いながら徐々に降りていくような設計になっています。
回廊もレベル差があり、ぐるぐる回っているだけで中庭の景色、光の感じ方も変わり飽きることがありません。
明るい部分に出てくると大理石がピンク色なのがよくわかります。
人の肌を美しく見える効果があるようです。
ベンチが配された回廊部分。
彫りの深いアーチの連続。
純粋で簡素な空間。
2重のアーケードを持つ開口。
柱にも装飾は最小限です。
回廊の床。
四辺に半円を押したテラコッタ。
連続すると円の模様が浮き上がってきます。
本当に心の底から感動し、癒しを覚えた建築でした。
敷地を解く素直なプランがとても心地よく、装飾は最小限で簡素でありながら純度の高い空間が実現されています。
建築を超え、芸術とは何か考えさせられるものでした。
また建築経験を積んで訪れたい場所です。
その後、レンタカーを小さな町で返し、トゥーロンを経由しマルセイユへ向かいます。
お目当てはコルビジェのユニテ・ダビタシオン。
-設計工房フウカ-
奈良県生駒市を拠点に主に住宅設計を中心に活動する一級建築設計事務所。
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