4/29(祝)、恒例の奈良をつなぐ家づくりの会の吉野の森バスツアーが催されました。
私もここ何回か同行させて頂いています。
毎回、違うテーマで森を訪れたり、見学をしたり、新たに気づく部分、勉強になる部分がたくさんあります。
今回も満員御礼のツアーとなりました。
今回のツアーの初めはHOUSE VISIONで展示されていた長谷川豪さん設計の吉野の家を見学させて頂きました。
民泊利用ができ、実際この家で泊まることができます。
二つの勾配やねが組み合わさったかわいいフォルムの建築です。
北側の吉野川に向かって窓が解放されています。
家から出るとすぐに河川敷で水を親しむことができます。
屋根はウエスタンレッドシダーとのこと。
壁は吉野杉の鎧張りで板の下側の部分は皮を剥いだ状態で波々した表情をあえて残していて、柔らかく、ユニークな印象を与えていました。
玄関を入り居間、キッチンを見たところです。
階段は桧の角材で吊られています。
間口は10間、短辺方向は2mほどの空間です。
左の扉を開けるとトイレや浴室、洗面、収納などに直接アクセスしています。
写真で見ていた時はどのようなものか少し分からなかったのですが、
小さな空間でこれほどにきれいな無節の杉板に包まれれることがなんとも気持ちが良かったです。
1階の材料は奈良をつなぐの会員である丸岡材木店さんが担当されています。
2階のスペース。東西に矢のかたちのような大きなFIX窓が取られ、そこから外部の緑に視線が繋がっています。
壁のふたを開けると、下野の軒下から通風が取れ、これだけで十分内部に風を取り入れることができていました。
壁なのか天井なのか、桧の板は面取りがされておらず、ソリッドな印象で影が良く出て、物質感を感じることができます。
次は川上村の高原(たかはらと読みます。)地区へ。
森を歩き、水源地を目指しました。
昔この地区の貴重な生活用水だったそうです。
ある時、この水源地の上の杉が一斉に伐採され、その際水脈に当たって水源が枯渇に至ったそうです。
その後、植林し森は戻り、再び美しい湧き水を取り戻されたとのことです。
「杉」という字は「木」と「水(サンズイ)」と書きます。
それほど、水が大好きで保水能力の高い木です。
吉野の美しい水は杉と共にあると言えます。
皆さんでおいしい湧き水を頂きました。
自然から頂く水一杯のありがたさを感じました。
マムシグサです。食虫植物のように見えますが違います。
吉野の森でたくさん住んでいる鹿でもさすがに食べれない毒性の強い植物です。
こちらはヒトリシズカという多年草。
白い花が二つのものはフタリシズカと呼ばれるそうです。
この時期に白いブラシのような花をつけます。
続いて280年生の杉を見学に。
何度か見させてもらっていますが、木々の間隔、高さ、素晴らしい森です。
下草も育っており、この下草により土壌が流れるのも防いでいます。
奥に見られる切り株、実は2020年オリンピックを目指して、明治神宮の鳥居に使われるそうです。
吉野から3本伐採され使われるそうです。
2020年が東京に行った際は是非ご覧下さい。
次に谷林業さんの森へ案内してもらいました。
今まで手付かずだった森に道を付け、搬出しやすいようにしたそうです。
ゴムと丸太を道に取り付け、土が流れていくのを防いでいます。
森に道を付けることは大変な労力ですが、今後の搬出コストの削減や森の管理に多いに役立っていきます。
現在の森です。
今は過密ですが、道が付けられたことにより、これから間伐がしやすくなり、良い森へ変わっていきます。
今後が楽しみです。
最後は製材所へ。
泉谷木材商店さんへ。
このツアーのガイドでもある泉谷さんが、丸太からどうやって木を取っていくか説明して頂きました。
左が乾燥前の桧の板、右が乾燥後の桧の板。
持つのずいぶん重さが違うことが分かります。
製材所で乾燥し、製材することで、家で使える材料となり現場に運ばれます。
死に節を埋める体験もしました。
子供たちもボンドを塗り、ハンマーで節を埋めてくれました。
泉谷さんの製材所では節の大きさによっていくつかの大きさを用意して、自然な感じでみえるようにされています。
天気のくずれもなんとか持ち、森を歩くにも心地の良いツアーとなりました。
定期的に催していますので、住宅をお考えの方、そうでない方、建築のプロの方、是非吉野の森に足を運んで下さい。
-設計工房フウカ-
奈良県生駒市を拠点に主に住宅設計を中心に活動する一級建築設計事務所。
土地探し、新築・リフォームの注文住宅の設計、店舗デザインまで。
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