先日、沖縄に行ってきました。
妻の友人の結婚式の参列を兼ね、足を延ばして伊是名島へ。
お目当ては銘苅家住宅。
京都造形大学院の授業で堀部安嗣先生がよく銘苅家の素晴らしさを伝えられていました。
中村好文さんや伊礼智さんも本などで紹介されています。
伊是名等へは沖縄中部にある運天港から伊是名島へはフェリーで一時間程度。
下船すると宿のおばちゃんが待ってくれており、銘苅家に行きたいと伝えると「私の車を貸してあげる」と言って下さり、有り難くお借りすることに。
周長16kmほどの島なので迷いようもないとおばちゃん。
沖縄の人と接するとなんとも大らかな文化や人柄で素晴らしいな感じます。
大きな福木と相方積みの石塀が迎えてくれます。
周りの住宅が野面積み(石を加工せずにそのまま積んでいく)で石を積んでいることもあり、銘苅家の格式の高さを感じます。
通りから見ると家の室内はほとんど見えず、屋根だけが浮いているようにも見えます。
福木と石塀と屋根が地にしっかりと着いた印象があります。
強風時に人が身を屈めてあるくように重心の低いどっしりとした、台風の多い地域ならではの建築です。
2、3歩入ると少し全体像が見てきました。
手前のヒンプンで右手に位置する居間や客間は見えないようになっています。
柱と屋根のバランスが大体1:1くらいでしょうか。
手前から台所土間、居間、奥に客間と雁行しながら配置されています。
次の日に見る本当の中村家住宅でもほぼ同じプランを見ることができます。
客間と居間の間のから見ているところです。
軒先で2100mmほど。
手を伸ばすと触れるほどの寸法です。
軒裏を見ると客間側は板になっており、居間側は葦のようなもので施されています。
客間から南の庭を見たところです。
ヒンプンは1650mmほど。
通りを歩く人から覗かれることもありません。
軒先とヒンプンの水平ラインがヒンプンの手前の緑と奥の庭の見え方をより強調的に見えるような効果を生んでいます。
沖縄の亜熱帯ならではのいろんな植物が混在している感じもまた良いです。
東側の庭もしっとりしていて苔に覆われていて、室内にも緑色を映しています。
軒裏や柱もほのかに緑を吸収していました。
西側には畜舎があります。
軒先で1700ほどなので、人が建てるかどうかくらいのスケールです。
住宅よりもさらに低いプロポーションで住宅との主従関係がしっかりとれていて美しいです。
簡素でありなが、重厚で誠実な住宅でした。
緑の中にひっそりと屋根だけが見えていて、こんなにも主張せずに建築が建てることができれば良いのになと感じます。
展望台から銘苅家のある集落をみたところです。
奥に福木の林のなかにひっそりと住まいがあります。
通りを散歩するだけでも心地良い場所です。
少し足を延ばして行かれるのも良いかと思います。
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