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第16回 吉野の森バスツアー

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11/23(祝)に奈良をつなぐ家づくり主催の第16回 吉野の森バスツアーに参加してきました。

毎回違う発見がある森のツアー。

バスの中では吉野の林業について泉谷木材商店の泉谷さんが説明してして下さいました。

「昔は木材をつなぎいかだで川を下り和歌山の湾まで出していたんですよー。子供が最も憧れる職業だったそうです。」と泉谷さんは話します。

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吉野郡上多古地区の森へ着きました。

山守さんが森を歩きながらいろいろ話しをお聞きしました。

写真は木蝋といって木の蝋燭のようなもの。

丸太にチェーンソーで切れ目を入れて、その隙間に火種を入れると中から火が起こり暖を取れるというもの。

必要ない丸太を使って、寒い冬の休憩時に山守さんが暖を取るそうです。

小さい丸太を使って鍋焼きをしたり、調理にも使えるようです。

120年生の杉の伐採地です。

現在は伐採し葉枯らしという状態で葉が付いたまましばらく放置しておきます。

木の中の水分を葉を伝って抜くことで含水率を下げ、また渋みのないきれいな色の木が取れるようにします。

年内はこのままの状態でおいて置くそうです。

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とても目の詰まった緻密な年輪です。

同じ120年でも吉野の木の育て方はわざと成長をゆっくりにさせ、細かな年輪をつくり強度のある木を育てています。

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管理され間伐された森はとても明るく気持ちが良いです。

木の育ち具合、日当たりなどを考慮しながら、徐々に木の本数を減らしながら大きな木を育てていきます。

一斉に伐採するわけではなく、段々と密度を低くしながら200年生、300年生の木をつくっていきます。

吉野の林業の特徴の「長伐期」というものです。

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お昼はいつもツアーでご協力頂いている川上村地域おこし協力隊の早稲田さんが茶粥をつくってくれました。

とても美味しく、冷えた体が温まりました。

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昼食後は300年生の杉の森を見に行きました。

先ほどの森よりさらに木と木の感覚が広くなっています。

木の全高は50mもあるとのこと。

管理がされている森は地滑りなどの被害も抑制してくれます。

雨が降ると1/3が木の葉が受け止めてくれるそうです。

あとの1/3が下草の笹などが受け止め1/3が地面に落ちます。

急激な地面の吸水を抑え、土へのダメージも抑えてくれます。

ゆっくりと地面に浸透し、地下水が湧き出ることで川の氾濫を防ぐことも担っています。

木を切ることが自然破壊だと認識されることも少なくありませんが、実は森を管理することでより環境にもよく、安全な森を維持しています。

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次に奈良をつなぐ家づくりの会のメンバーでもある株式会社ホーテックさんに伺いました。

きれいに桟積みされた板材。美しいです。

赤身、白太などに分類されています。

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ホーテックさんは杉の板材に特に力を入れられています。

説明されているのは杉のハードフローリングというもの。

杉の柔らかさが時にデメリットにもなり得るケースもあると思いますが(重歩行や車いすなど)、

ハードフローリングは表面の数ミリを圧密ロールの機械に入れ、硬くしています。

実際触ると硬く、少々の摩擦やひっかき傷では傷がいきません。

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最後の見学地は現場見学会です。

いつもお世話になり、いろいろ教えて頂いているフロントデザインの岩城さんと伏見工務店さんの現場です。

30程度のコンパクトで心地良さそうな家です。

岩城さんが吉野の木を使った家づくりの特徴やこの家のこだわりについて説明頂きました。

奈良 木の家

構造材はツアーの案内役の泉谷木材商店さんが納入されています。

泉谷商店さんの特徴の桧のダブルスリットの柱。

桧は杉に比べて含水率が落ちにくく、背割りという柱に一本割れ目を入れ、内部の水分を抜く方法を取ります。

ダブルスリット柱は両面に2本のスリットを入れ、表面積を増やし含水率を減らしていく方法です。

今後、弊所も取り入れようかと検討しています。

合板や構造の金物関係の取付も柱の真ん中に背割りがないので、釘やボルトも効きやすいという利点もありそうです。

 

今回も発見のある有意義なツアーでした。

継続的に開催していますので、お住まいを考えの方、建築関係者の方、是非ご参加ください。

 

-設計工房フウカ-

奈良県生駒市を拠点に主に住宅設計を中心に活動する一級建築設計事務所。

土地探し、新築・リフォームの注文住宅の設計、店舗デザインまで。

県産材を使った家づくりを得意としています。

お考えの方はお気軽にご相談を下さい。

〒630-0212 奈良県生駒市辻町881−11 クレスト パーク 東 生駒 101

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