先日、久々に東京に行ってきました。
世田谷にある猪俣邸へ。
成城学園前という駅から歩いて10分もかからないところにあります。
樹々が大きく育ち、住宅は平屋で高さないため、瓦屋の屋根が通りから見える程度でとても町への馴染みが良いです。
塀と門はとても良いバランスで、門の屋根の下に弊が潜りこんでいて、柱や壁、母屋や垂木、それぞれを立体的に感じることができます。
門の右手の膨らんだボリュームは反対側がに腰掛のスペースがあります。
門の引き戸を開くと導入部の庭と建築が目に入ってきます。
和室への角度を振った廊下部分のラインが導入部にもパースを生んでいます。
何段から石を上がり玄関へ辿りつきます。
深い庇を見上げながらゆったりとのぼっていきます。
玄関部分。
入ると地窓を通して、中庭の緑をみることができます。
天井は高いものの鴨居や、垂れ壁などで身体的なスケールが調整させています。
食堂から中庭を見たところです。
コーナーがすべて引き戸で開放され、中庭と一体になっています。
湿気を好むシダなど、深い緑の色が左官の壁とコントラストを生んでいます。
今から食堂を見た部分。
見えている柱や梁は松の単板を構造材に張っているとのことです。
松の経年変化がうむ深い褐色の色を好まれたようです。
食堂の床はパーケットのフローリング。
バランスを考えながら、柱や鴨居などを必要に応じて出さないデザインにしたそうです。
写真で言いますと、入隅の柱がなかったり、それに取り付く鴨居がありません。
どしっと安定しながらも軽快な印象を得られるのはこのあたりの操作にあるようです。
今の奥の夫人室。
実際の生活は夫人室が居間の役割になっていたようです。
渡り廊下を渡った茶室です。
天井のディテール。
竹や桜や桧など粗々しかったり、つるつるしていたり、いろいろな質感を持った材料が光を受けて存在しています。
敷台の下にはスリットが仕込まれていて、空調の吸い込み口になっています。
この住まいでは徹底的にこのような工夫がなされ、機器の存在を感じることがありません。
床は黒い漆の板。
一番奥にある書斎。
増築部分になり、吉田五十八のお弟子さんが設計を担当されているようです。
庭が対角線で長く見えます。
開口部の窓台は床から450mm。
堀こたつに座った目線に合わせて、庭の風景を気持ち良く取り込んでいます。
「五・十・八」。
どこを切り取っても画になる美しい建築でした。
-設計工房フウカ-
奈良県生駒市を拠点に主に住宅設計を中心に活動する一級建築設計事務所。
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