FUUCA ARCHITECTURAL DESIGN

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西登美ケ丘の家

変形した土地に建つ30坪の小さな家です。南側には常緑樹のモチノキが大きく育っており、東側の隣地にも立派な桜の木が立っています。1階には光を取り入れることが期待できないため、居間や食堂などの主要階を2階とし、光を内部に取り込み、木々の緑を見ながら生活をすることを考えていきました。

道路のラインと斜面地のラインをそれぞれ取りながら、変則的は五角形。中央に階段を設け、その周りをぐるぐると回ることができる行き止まりのないプランとなっています。

1階には寝室、子供室、WIC、水回りを、2階にLDK、フリースペース、トイレを配置しています。階段を上り、居間と食堂に入ると木々の緑が目に飛び来んできます。
食堂部分は舟底天井とし、桧板を張りました。ソファーは抑揚を与えるため天井をぐっと下げ、落ち着きを与えています。キッチンは独立型とし、五角形の鈍角部分を利用し、V型のキッチンは緩やかな作業動線となっています。階段の踊り場を上ると、屋根の上に辿り着き、そこには3畳の月見台を設けました。視界は木々の高さを越え、生駒の山並みを見ることができます。

外壁は長期的なメンテナンスを考慮し、左官の搔き落としを採用しました。内部の素材は肌触り良い桧や杉、柔らかい光の印象を与えてくれる砂漆喰、LDKの床にはブラックチェリーを選定し持っている家具とバランスを取りました。

小さい家ながら五角形のプランから生まれる斜めのラインは空間に不思議な奥行きを与え、また回遊的であることから床面積以上の広がりを作り出すことができました。

設計期間：2017年10月～2018年4月
竣工：2018年11月
所在地：奈良県奈良市
構造規模：木造2階建て
敷地面積：305.97m²
建築面積：55.01m²
延床面積：103.01m²

施工：中村工務店
写真：株式会社VA

建築費用：2000-2500万円代

〔お客様の声〕

子供を授かったことをきっかけに、自分たちの家を持つということを前向きに考えるようになりました。この土地に出会い、緑に囲まれたこんなところで暮らせたらいいなと思い、ここに家を建てることに決めました。

土地の南西側には見上げるほど大きく育った木が6本植えられており、伐採を視野に入れていたのですが、中村さんは、「木を切ることは今までの景色や時間を無くしてしまうようで抵抗がある。できればこの木を活かしたい」
と、ご提案くださいました。

素敵な考え方だなと思い中村さんにお願いすることにしました。

プランの検討、床材、壁、建具、金具など細かなことまで一緒に選ぶことのできる楽しさや、イメージが現実になった時の嬉しさは、中村さんとの家づくりだからこそ感じられたのではないかなと思っています。
お任せするだけでなく、私たちも一緒になって作ったという感覚を持てたことでより深い愛着を持つことへと繋がりました。
部屋の中にいながらも自然を感じられるこの家では、今日も木の葉が風に揺れ、木漏れ日が差し込み、鳥が囀り、私たちの生活に癒しと潤いを与えてくれています。

ここに暮らしてまもなく1年。巡る季節の中で子供ものびのびと成長してくれています。初めてこの土地と出会った時に思い描いた夢がこうして実現し、とても幸せです。
これから長い年月をかけ、沢山の思い出で彩っていきたいと思います。