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吉野の森見学バスツアー-奈良をつなぐ家づくりの会

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7/24(日)、吉野の森見学バスツアーに開催されました。

このツアーも今回で15回目。

満員御礼でプロアマたくさんの人に参加して頂きました。

今回は間伐材を体験し、なぜ間伐が必要なのか、どのような木を間伐するべきなのか、そして間伐することでどのような効果が得られるのかを学ぶことが大きなテーマでした。

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森を向かうまでにガイドの泉谷木材商店の泉谷さんから吉野の森の特徴などをお聞きしました。

吉野の森の特徴として

①密林

②多間伐

③長伐期

が大きく挙げられます。

①「密林」は苗木を密に植えることです。吉野の森は8000~10000本/haで他地域の2000~3000本/haからするとおおよそ5倍程度の密度があります。

これは高密度に植林することで成長をあえて遅らせ木目の細かい杉や桧を育てる工夫があります。

このため吉野の杉や桧は年輪が細かく、見栄えと強度とも良い材料が得られます。

②多間伐は手入れの頻度が吉野の森は多く、高密度の植林を間伐しながら、育てる木をそうではない木を見極めながら、森を成長させていきます。

段階的に間伐しながら、100年以上育てていく木と間伐し柱材などに使われる製材する木をつくっていきます。

③長伐期は100年以上の長期的なスパンで森を育てていくことです。

60年ほどのスパンで伐採される森が一般的ですが、吉野の森は「密林」・「多間伐」の特徴的な育て方をして、100年以上の森を育てています。

100年以上管理さらた森は木の間隔も整えられ、地面にも光も届く明るい森になり生態系の良い循環も担います。

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川上村の道の駅でヘリコプターが木を運搬しています。

吉野の森は山が急登なため、道が付けにくため、ヘリコプターが車の入る部分まで運搬します。

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川を渡り、森に着きました。

山守の民辻さんに森の説明を受け、間伐する作業を見学しました。

間伐する桧に紐をかけ木を倒す方向を決め、チェーンソーで倒す側にV字に切り込みを入れます。

そのあと反対側から水平にチェーンソーを入れるとメリメリと音が鳴りながら倒れました。

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その場の木が倒れると、その場所に光が差し込んで明るい森になりました。

これからその周りの木はまたぐんぐん育ち、大きくなっていくことでしょう。

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倒れた木の年輪です。

おおよそ50年生の桧の木。

倒れる年輪を見るとその森の管理が分かると言います。

木は外側に年輪をつくりながら育っていきます。

良く見てみると外側から10本目あたりの年輪のところで年輪の巾が大きいところが見られます。

これは10年前にこの森が間伐されたことが示しているとのこと。

その時期に森が間伐されたことで、光が入りその一年大きく成長したことが年輪の間隔から分かるそうです。

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子供たちがのこぎりを持って、実際に間伐の体験をしています。

みんな筋が良く、山守の卵に認定されました。

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こちらは10日程度前に伐採された230年生の杉の木です。時代は江戸時代後期。

圧倒的な存在です。

山側に倒し、「葉枯らし」をしています。

「葉枯らし」は葉を付けたまま山で乾燥させる作業です。

葉から木の中の水分を飛ばし、山側に倒すことで渋を抜いて赤身の色をよりきれいにします。

重量も少なくなり、今後の運搬も楽になります。

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帰りにちょうど森から搬出される木がトラックに運ばれていました。

ヘリコプターでここまで運ばれ、ここで3mちょっと、4mちょっとで玉切りされ、原木市場に並べられます。

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帰りに280年生の桧の森を見学しました。

まっすぐに伸びる美しい木。

雑木の自然の美しさとはまた違い、人工的に長年にわたって管理された森は整然としていて

柔らかい光に包まれ、時間の長さをスケールで感じられる大らかさがあります。

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森から下りて、実際に森の木がどのように製材されているかを泉谷木材商店に見に行きました。

泉谷さんが一本の丸太からどのように木が取られていくか説明をされています。

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赤身のきれいな杉の板材。これから鉋できれいなフローリングになっていきます。

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こちらはダブルスリットを入れた柱材です。

これまでは背割りと言って柱の背に一本スリットを入れて乾燥することが多かったのですが、

これは4本の15mmほどのスリットを入れ乾燥させます。

これによりなるだけ低い温度で乾燥することが可能になり、色つやともきれいな柱材が仕上がります。

奈良で開発された方法で、現在は泉谷さんの製材所のみでつくられています。

今とても興味がある材料です。

 

森や製材現場を見てもらうと、木や家に対する考えがとても変わると多く聞かせてもらえます。

私もその一人です。

日本の人工林の成長量は6000㎥。

日本の年間木材消費量の80%になります。

つまり、国産材を使っても十分に持続的可能な資源と言うことができます。

それに関わらず、東南アジア、西ヨーロッパ、アメリカなどの輸入材に頼っているのが現状です。

外材の代表である安価で早く伐採可能なホワイトウッドに多くのシェアを譲っています。

なるだけその風土で培った材料を住宅で使っていくことが地球全体の環境や地域の環境、経済の活性の好循環を生んでいきます。

吉野の杉や桧は木目が細かく、強度面や耐久性についても長期的に耐えうる材料だと言えます。

積極的に吉野の材料を使ってもらいたいと考えています。

次は秋に森のツアーの開催予定です。

吉野の森へ是非足を運んでください。

 

-設計工房フウカ-

奈良県生駒市を拠点に主に住宅設計を中心に活動する一級建築設計事務所。

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