
新大宮の家です。
本日、住まい手にお引渡しをさせて頂きました。
私が新型コロナ感染し、引渡しが一週間延期。
住まい手をはじめ、多くの方にご迷惑をお掛け致しました。
見学会を予定して頂いた方にも申し訳なく存じます。
少しではありますが、竣工時の写真を掲載します。
新大宮の家は29坪の小さな家です。
土地は38坪ほどの市街化密集した地域。
4人家族に過不足のない、簡素な家を考えました。
南東側に庭を取り、囲むように二つのボリュームが雁行し、庭へと視線が抜けるようなプランとしました。
玄関からリビングへ入るとダイニングキッチンへと対角に視線が抜け、面積以上の広さを感じることができます。
リビングは天井高を低くし、L字に杉板の腰壁を廻して、抑揚と抱擁感のあるスペースとしました。
スタディコーナーには洗面スペースと小さな吹抜けで繋がり、空気を上階に運び、光を呼び込みます。
空調は置床タイプのエアコンを採用し、基礎内部に空気を送り込んでいます。



ダイニングの窓はコーナーに設け、テーブルよりも窓台の高さを少し低くすることで、庭をより身近に感じることができます。

ダイニングよりリビングと階段室を見たところです。
キッチンの壁はスタッコを塗っています。白に微量のグレーの顔料を入れています。
磨き漆喰のようですが、ランダムな光の反射の表情が美しいです。

キッチンは大工造作のものです。
桧板、桧の角材で構成しました。
必要な部分は引出をつくりながら、下部は棚のオープンな設えとしました。使い勝手を整理し、割り切るところ捨てることで既製品よりも安く済むこともあります。
既製品が優れた部分も多いですが、時間とともに愛着の湧くキッチンになったように思います。手前の空いた空間には食洗機が入ります。

階段を上がると図書スペースがあります。小さな居場所ですが、廊下のみの機能でなく、動線の中で楽しみを得られる空間になったと思います。
化粧梁の上の杉板は天井と小屋裏収納の床を兼ねています。
天井面をきれいに見せるため、木表を天井面にして張ってもらいました。

図書スペースは天井も低く、光も抑えて暗がりのある空間としています。
奥には洗面台が見えます。

子供室は2500mmと天井を少し高く取っています。
建具上に小屋裏収納と繋がった欄間を取り、小屋裏エアコンの空気の取り入れ口としています。

バルコニーに面した洗面スペースです。
天窓からは光が降り注ぎ、リビングまで光を落とします。
天窓の下には物干しのスチールバーを取付け、籐を巻きました。
バルコニーは雨の日でも濡れずに干せるように深い軒が張り出します。

主寝室です。開口は制限して落ち着いて休めるような空間としました。

シナベニヤでつくった無双窓は建具を閉めたまま、空気を循環させます。
小屋裏のエアコン、床下エアコンの2台と循環ファンで温熱環境をコントロールします。

玄関はコンパクトでありながら、リビングと天井の杉板を連続させ、ガラスで空間を繋げています。玄関脇には小さな手洗いを設けました。
奥はトイレになっています。
ハイサイド窓からは道路向かいの家の緑を借景を見ることができます。

玄関は大きな庇を持たせ、少し奥まらせることで道路より玄関が見通せないようにしています。また雨の日でも落ち着いて支度をすることができます。
右手には勝手口を設け、車から帰ってきて、食品をパントリーに取り入れたり、アウトドア用品を簡単に出し入れすることができます。
外壁はウッドロングエコを住まい手といっしょに塗りました。
植栽もグリーンハウスさんに譲って頂き、自分たちで植えました。
施主施工は労力もかかり大変な部分もありますが、家づくりの大変さや愛着、気付きも得られて良いと思います。

右手の奥まった部分は駐輪スペースです。階段下のスペースを有効利用しています。
新しい生活が始まります。
何十年先も愛される家であることを心より願います。
奥さまから家の中を歩いているだけで自然と笑みが出ますと言って頂き、感無量で引渡しをすることができました。
生活の様子をまた見に伺いたいと思います。
-設計工房フウカ-
奈良県生駒市を拠点に主に住宅設計を中心に活動する一級建築設計事務所。
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