この日はスカルパのTomba Brionとカノーヴァ美術館へ。
カステルフランコの宿に一泊し、早朝町の西側のバス乗り場から向かいます。
切符はバス乗り場の前のBar Romaで行き先を伝えて購入。
一人€9程度。
9:00のバスに乗り込み20分程度でS.vitoに到着。
バス乗り場の前に教会があり、その辺りからTomb Brionの表札を見つけることができます。
Tomba Brionとはブリオン家の墓のことです。
入り口をくぐると象徴的な赤と青のタイルが埋められた2つの交差した丸が迎えてくれます。
上のスリットの開口からは光を差し込み、荒いコンクリートの表情とスカルパが好んだ化粧漆喰が艶やさが対照的な素材感を出していました。
水面の模様が反射する化粧漆喰。
蓮が浮かぶ池を通して橋のようなデザインのブリオンの墓が見えます。
内側に傾いた塀は町の喧噪と風景をあえて遮り、山と空の風景を享受しています。
スカルパらしいディテール。
水面にもつながっていき水の中に消えていきます。
水の中にも連続して建築があるような、ヴェネチア生まれならでは建築の扱いです。
墓の前から導入部を振り返ります。
水の流れ。二重円から差し込む光。建築に取り付く緑。水がたどり着く蓮の浮かぶ池。
すべての流れが合間う芸術でした。
ブリオン夫妻が眠る墓。寄り添うように墓石が配されています。
屋根があるというのは特別な敬意を感じられます。
天井には煌びやかなタイルが埋め込まれています。
奥にある礼拝堂。真鍮の教壇の技巧が素晴らしいです。
あいにく教壇の上のトップライトは改修中でした。
ビアンコカラーラの小窓も石を透過して光がうっすら入ってきます。
円の開口と格子の建具が日本的な空間の印象を受けます。
ギザギザに彫り込まれたスリット窓の立体感は素晴らしく、見る角度によって分厚く、時に風景をスッと取り込むような厚さを感じさせない開口に変わります。
教壇の後ろの角の地窓。
水の中にも造形が作られ、水位によってその表情が変わって見えるのだとおもいます。
墓の脇につくられたスカルパの墓です。
スカルパ自身、この地に眠ることを望んでいたようです。
S.vitoからPossagno(ポッサーニョ)にバスでカノーヴァ美術館へ。
奥に見える建物がスカルパがデザインした増築棟です。
キューブ状のガラスの箱窓が印象的です。
内部は撮影不可でしたが、ちょうど12時前に入ると素晴らしい光が差し込んでいました。
光だけではなく、七色のプリズムまでが落ちていて、スカルパの光に対する扱いの深さを感じました。
カステルフランコに戻り、ヴェネチアへ向かいます。
まだスカルパ建築が続きます。
-設計工房フウカ-
奈良県生駒市を拠点に主に住宅設計を中心に活動する一級建築設計事務所。
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